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2007年01月10日

H. P. Lovecraft's DAGON

スカパーでやってたDAGONというホラー映画を拝見。ホラー映画嫌いがなんでそんなものを見たかというと、舞台がガリシアだから。

「ダゴン」と言えばもちろん、H. P. ラヴクラフトのクトゥルフ神話に登場する海神なわけで。この映画はラヴクラフトの『インスマスの影』が原作なのですが、しかし、ニューイングランドにあるとされている原作の舞台インスマスは、この映画ではガリシアのインボカという町に置き換えられています。何故か?おそらく最大の理由は、この映画がスペイン製だから。そして、もしかしたらプロデューサのフリオ・フェルナンデス Julio Fernández が、映画のロケ地に程近いビゴの出身だから。

ラヴクラフトオタにしてみれば、舞台がスペインに移されているのみならず、かのインスマスの名前まで変えられていて、ふざけんなという意見が当然至極だと思われますが。しかしそこはガリシア。陰鬱な雰囲気を醸し出すのは大得意の土地柄なわけで。実際のところ映画のインボカは、これこそインスマスじゃまいかという、見事に陰鬱で胡散臭い町に仕立て上げられていたり。
インスマスの名前が変更になっているのも、Innsmouthという、あからさまに英語な名称を、ガリシアらしくImbocaと置き換えているわけで(Mouth→Boca)。なにせ監督は、ラヴクラフトオタとして知られるスチュアート・ゴードン Stuart Gordon なので、むしろ変更も徹底されているのだろうなあと。

で、このインボカのロケ地は、ポンテベドラのコンバロ Combarro という町(ちなみに、インボカにダゴン崇拝をもたらし、町を支配している一族の苗字はCambarro)。Turgalicia(ガリシア観光局)のウェブサイトにコンバロの紹介があるのですが、そこに掲載されている写真の町並みは、映画のインボカそのままの陰鬱なもので、案の定スッピンのままでもクトゥルフ神話の舞台になり得る町である模様(笑)。

ホラー映画ではユーモアが重要なエッセンスなわけですが、異形のロリコン系ヒロイン、ウシア・カンバロ嬢が、実はタコの化身だったりして。それはもしかして「プルポ・ガジェゴ」というギャグかい?とか。ガリシアオタにも結構楽しめる映画でありました。

この映画を製作したのはFantastic Factoryという、バルセロナの映画会社filmaxのホラー映画専門レーベル(中心人物は前述のフリオ・フェルナンデスと、スチュアート・ゴードンのラヴクラフトオタ仲間であるブライアン・ユズナ Brian Yuzna)。
ちなみにこのレーベルは、やはりガリシアを舞台にしたROMASANTA(邦題はガリシアの獣)という映画も製作しています。こちらはオウレンセのアジャリス Allariz という町で実際にあった連続殺人事件を基にしたハナシらしい。

Category: ガリシアのお勉強
Posted 2007年01月10日 22:10

2006年12月15日

Galicia - Sí, es única

ここにはFlashオブジェクトが表示されます。ここにFlashオブジェクトではなくこのテキストが表示されたままの場合は、以下の原因が考えられます。

  • RSSリーダーとかで表示している。
  • ウェブブラウザがDOM対応のものではないか、JavaScriptが無効になっている。
  • Flashプレイヤーがインストールされていない。
  • おいらの手違い。

久しぶりにルアル・ナ・ルブレ Luar na Lubre のウェブサイトが更新され、なにかと思いきや、YouTubeにアップされてる自分たちのビデオへのリンク集というネタで。TVGで放映されたスタジオライブとか、旧作のビデオクリップとか、日本のルブレオタ(推定3人程度)にとっては垂涎の映像が拝めるわけですが、これらはもちろん“オフィシャルに”アップロードされたものなわけはなく。うちらの国なら、アーティスト本人より先にJASRACあたりが、「削除と謝罪と賠償とユーザーの氏名・住所の登録制を要求するニダ」と騒ぎ立てるんだろうなと思ったり。

さて、上のFlashな動画はTurgalicia(ガリシア観光局)が今年の夏に制作したテレビCM集です。
「Tu Gitana」が最初のふたつのもののBGMに採用されているため、ルアル・ナ・ルブレのウェブサイトでも紹介されていますが、いかんせん本家の動画(左のメニューね)を日本から眺めようとすると、ダウンロードにドえらい時間がかかる上に、一部HTMLがクズなのでまともに見れやしない。てなことで、ガリシアへのニッポン人観光客誘致の一助になればという願いをこめて…。

というフリをしてFlashビデオをあれこれいじってみたテスト。
以下はテストのメモ。もはやガリシアとは無関係。

» 「Galicia - Sí, es única」の続きを読む

Category: ウェブ制作, ガリシアのお勉強
Posted 2006年12月15日 21:54

2006年01月26日

ガリシア風CSSデザイン

青赤デザインはlivedoor Blogからのもので、さすがに飽きてきたので、これはこれで置いといて、切り替え用のCSSをもうひとつ用意してみますた。新たにいちから作ったわけではなく、以前に別の企画で用意していてお蔵入りになったものの復活。
一応、「ガリシア風」のつもり。しかし背景に居座る木の写真は、ガリシアのものではなく等々力緑地のものだったりする罠。「どこがガリシアやねん」と言われると返す言葉もございません。あくまでイメージということでひとつ。
ま、シックでニート(NEETではなくneat)な雰囲気がお好みの貴兄や、青赤嫌いな貴兄はこちらをどーぞ。

青赤 ガリシア風

Mozilla/Firefoxなかたは、もちろん「スタイルシート」メニューから切り替えていただけますが、それではページを遷移するごとにメニューを操作しなければいけないわけで。トップページのサイドメニューにあるアイコンで切り替えていただくと、cookieを仕込ませるので、セッション終了までは、ページを遷移しても引き続き同じデザインで表示される筈。
これはJavaScriptでの実装で、しかもかなり安直。例によってMozilla/Firefox以外での動作は気にしちゃいません。IEエンジンをご利用の皆さまにおかれましては、切り替えアイコンをクリックすると、どういうわけかfont-sizeがsmallerになりやがったり(ページをリロードしたり遷移すると元に戻る)、印刷への反映がヘンだったりする模様ですが、知ったこっちゃありません。

ついでに、トップページの写真の一覧をランダム表示にしてみますた。
こっちはサーバサイドのPHPでの実装。これもクライアントサイドにしようかと思ったのですが、PHPのランダムってあまりにも楽チンなので。

Category: ウェブ制作, ガリシアのお勉強
Posted 2006年01月26日 21:43

2005年11月17日

初めてのスペイン語deオンラインショッピング

このとき注文していたルナル・ナ・ルブレ Luar Na Lubre の新譜「Saudade」について、遅れてすまんかったが今発送したから、というメールが、グループのオフィシャル通販サイトLaTiendaCelta.comから届いたのが1週間前。サイトには、「世界のその他の地域」は2~10週間で到着と書いてあるので、果たしていつになることやらと思っていたら、今日届きますた。
スペイン語オンリーの1週間前のメールを機械翻訳にかけたところ、遅れた原因は「新譜にグループのサインが貰えなかったため」とか書いてあり、サイトを見ると、今は確かに「先着でサイン入り」と書いてある。しかし、注文したときにはそんなことは書かれてなかったので、どうなのかなと思っていたのだけど、ちゃんとサイン入りだったよ、さすがオフィシャル通販。写真のように、ブックレットの見開きに、このアルバムから加わったリスボンの歌姫、サラ・ロウラソ・ヴィダウ Sara Louraço Vidal、グループの中心人物であるガイタ(ガリシアのバグパイプ)のビエイト・ロメロ Bieito Romero、パーカッションのシャビエル・フェレイロ Xavier Ferreiro の3人のサインがありました。

こちらは一緒に注文していた青いエスピラル。ケルトのぐるぐる渦巻きをあしらった、銀細工のペンダントで、ardentiaというア・コルーニャのブランドのデザイン。箱がやたらと可愛い。

Category: ガリシアのお勉強
Posted 2005年11月17日 02:12

2005年10月26日

Saudade - Luar Na Lubre

ア・コルーニャの伝統音楽グループ、ルアル・ナ・ルブレ Lubre Na Lubre の最新リリースが本日発売。タイトルは「Saudade」。そう、サウダーヂです。ポルトガル語です。
このへんにも書いていたように、前作「Hai un paraiso」(本国でのリリースから1年半近く経った今年の6月になって、約束の地というかなり強引な邦題で、新星堂オーマガトキから発売されますた)以上にポルトガル風味が濃厚になることは予想されていたわけですが。

パッケージはさておき、タイトルとサンプル音源からは、前作の「O Meu País | わたしの国」とか「Memoria da noite | 悲しみの記憶」あたりの、ラテンな哀愁風味がお好みの向きには堪らん内容であることが予想されます。

このリリースに合わせて、オフィシャルサイトも本日リニューアル。
「Saudade」のサンプル音源は、こちらのページのふたつのリンクが、「Desterro」と「Domingo Ferreiro」の、それぞれ1分のバージョンのもの。また、発売元のワーナーミュージック・スペインには「Domingo Ferreiro」のフルバージョンがあります(こちらには、Un bosque de Músicaの映像から抜粋した「Hai un paraiso | 天国があるさ」のビデオもあります)。お試しあれ。

現時点では「Saudade」は、Amazon.co.jpは当然ながら、欧州の各Amazonはおろかfnac.esにさえ未だ掲載されておらず。辛抱堪らんのでグループ公認の通販サイトLaTiendaCelta.comで注文。初めてのスペイン語deオンラインショッピングだよ、どきどき。
海外通販は送料が高いのがネックなのだけど、ここはヨーロッパとアメリカ以外の地域は、1回の注文につき個数とかサイズに関係なく€30らしい。高さ80cmの小型ハープ(€750)でも送料は€30と表示されるので、これが本当にこの送料で日本に送られてくるのか注文してみたろうかと思ったけど、さすがにそれは思い止まり。日本では入手困難なグループの旧譜と、青いエスピラル(ケルトの渦巻き模様)を象った銀細工のペンダントを注文。さて、無事に届くのやら。

Category: ガリシアのお勉強
Posted 2005年10月26日 23:27

2005年10月25日

ビゴとカルロス・ヌニェスとセルタとシトロエン

TVEスペインチャンネルで月曜日の早朝に放送中の、ガリシア地方のドキュメンタリー番組「デスデ・ガリシア・パラ・エル・ムンド Desde Galicia para el Mundo(ガリシアから世界へ)」の今週の回は、Vigo, La Puerta Atlánticaと題した、なんだかまたまたビゴの話題で、さすがのビゴ好きも「またかよ」ということで、直ぐには見ないで放置していたのですが。
今、録画をだらだら流しながら別の用事をしていてちらちらと画面を見てたら、ビゴ出身のガリシア音楽界の若き重鎮、カルロス・ヌニェス Carlos Nuñez や、セルタ・デ・ビゴのボルハ・オウビーニャ Borja Oubiña やプジョー・シトロエンのお偉いさん(と思われ)やら。気になりまくるひとたちが次々とインタービューに答えてる。
「またかよ」どころか、これかなり面白い内容かもしれない。ああ、ちゃんとじっくりと見ないと。

☆☆☆

最初のほうをちょっくら見てみた。
なんだかいきなりゴッドファザーなBGMで、なんだなんだ?と思ったら、音楽がアストル・ピアソラのタンゴに切り替わり、古いモノクロームの港の映像が流れたところで思い当たった。港に泊まった客船に大きな荷物を抱えてひとびとが乗り込んでいく。遥か大西洋の彼方の大陸へと、希望を抱いて長い航海に出ようとしているひとたちと、それを見送るひとたち。それまで流れていた曲は、ロバート・デ・ニーロ演じる若き日のヴィトー・コルレオーネ、やがてゴッドファザーと呼ばれ畏れられることになるイタリア移民の青年の物語、ゴッドファザー・パートIIの「移民のテーマ」だ。ガリシアが中南米に大量の移民を送り出していたとき、ビゴはその玄関口だったのだね。「La Puerta Atlántica」という副題はこのことか、と。

Category: ガリシアのお勉強
Posted 2005年10月25日 00:55

2005年10月21日

バラハス空港

スペインはマドリーのバラハス空港に、4番目のターミナルが落成したそうな。
http://www.spain-ya.com/Pages/nt051019.htm

去年の夏に訪れたバラハスは、古ぼけた胡散臭いターミナル1 & 2とは対照的に、やたらと近代的ですがすがしいターミナル3が、色んな意味で印象的だったのだけど、さらにまだ新しいターミナルを建ててやがったとは。ターミナル3の端っこが妙に中途半端に途切れていたのはそういう都合もあったのやらなかったのやら。
記事によるとこれでバラハスは、生意気にもロンドンのヒースロー空港を抜いてヨーロッパ最大の空港となるそうな。あらあら。
それはもちろん「ヨーロッパのハブ」の座を狙ってのことであるわけで、ハブを謳おうとするからには当然、いい加減に日本との直行便も復活するよな、ああ?(イベリア航空が日本から撤退して以降、日本からスペインへは直行便がなく、経由便でバラハスに到着するのは夜半になることが多いため、マドリーからさらに他に移動しようとする場合はいったんマドリーで夜を明かさなければならず超不便)。

期待してます(はーと)。

Category: ガリシアのお勉強
Posted 2005年10月21日 23:01

2005年09月29日

光の街、ア・コルーニャ

luz de vanguardia TVEスペインチャンネルで月曜日の早朝に放送中の、ガリシア地方のドキュメンタリー番組「デスデ・ガリシア・パラ・エル・ムンド Desde Galicia para el Mundo(ガリシアから世界へ)」の今週の回は、A Coruña, Ciudad de la Luz(光の街、ア・コルーニャ)と題したア・コルーニャの特集で、風土と文化が主な主題のこの番組にしては珍しく、今回はスポーツ(というかデポルティーボ・ラ・コルーニャ)や企業経済(ZARAとかFADESAとか)などの話題も交え、多様な側面から包括的にこの街の現在を捉えようといった趣きのものでした。
風景映像の美しさはあいかわらず見事で、リアソールの上空から海岸線を順に舐めていく空撮とかかっちょよかったです。貼り付けてある画像は、「luz de vanguardia(最先端の光)」と題したセクションのオープニング映像のひとこまなのですが、とっても幻想的なので、番組のサイトからダウンロードできるMPEGファイルから切り出してみますた。

さて音楽方面では、ア・コルーニャと言えばルアル・ナ・ルブレ Luar Na Lubre の元祖歌姫で、現在はソロに転向したロサ・セドロン Rosa Cedrón女史のインタビューがあり。グループ時代とは随分イメージが変わり、ボサボサのソバージュからストレートに髪型を変え、カジュアルな衣装に身を包んだ風情が、グループ時代のイメージからするとやたらと若々しかったのでビックリ(大概失礼だな)。気が付けば、当初はモノクロ基調だったオフィシャルサイトも、コマーシャルフォトグラファーのショアン・ピニョン Xoan Piñonが手掛けた派手な写真をフィーチャーした、なんだかやたらとポップな感じに様変わりしてるし。
確かにれは伝統音楽のグループではあり得ないイメージなわけで。ああこのひと、グループを抜けたのはこういうのがやりたかったのかと。

そして、ディレクシオン・ノルテ Dirección Norte(「北へ」と訳すとランララン)という、ア・コルーニャの新鋭ポップバンドが紹介されていて、これがかなり好みの感じですた。オフィシャルサイトで、radio.blogでアルバムの全曲を垂れ流してるので、早速MP3を落っことし、携帯プレイヤーに突っ込んでヘヴィーローテーション中。

Copyright of the image on this article may be owned by Radio Televisión Española and/or its relation(s), used without permission.

Category: ガリシアのお勉強
Posted 2005年09月29日 22:43

2005年08月31日

ZARA吉祥寺店

ZARA吉祥寺店、ライバルGAPの隣に近日オープン 吉祥寺東急裏のネイサンズで茶を飲んでいて、ふと振り返ったら、見慣れたGAPの右隣にZARAの看板を掲げた工事中の店舗が見えて茶を噴き出しそうになった。GAPの、欧州発の対抗馬として、日本でも急速に店舗が増殖しているZARAだけど、ライバルのすぐ隣に店を並べてガチンコ対決かよ。面白いじゃねえか。
さて、GAPと言えばその創業年に因んで1969をシンボルのひとつに採用しているという、ガスサポにとってはウンコなブランドのわけですが。一方のZARAは、30年前にZARA名義の最初の店をアコルーニャにオープンし、現在もアコルーニャ県アルテイショ市(アコルーニャ市の西隣)に本拠を構えるINDITEX Group社の旗艦ブランドであり、オーナーのアマンシオ・オルテガ・ガオナ氏の贔屓のスポーツクラブは、当然デポルティーボ・ラ・コルーニャなわけです。

ZARA吉祥寺店の開店を待ちわびるガキンチョ てなことで、当人たちは知る由もなかろうけれど、おいら的にはこの店の並び具合は、まさにひとつのダービーなのですよ、奥さん!
写真は、ZARA吉祥寺店の開店を待ちわびる武蔵野のガキンチョ(なわけない)。

Category: FC東京, いろんな風景, ガリシアのお勉強
Posted 2005年08月31日 15:03

2005年03月15日

海を飛ぶ夢 Mar adentro

ラモン・サンペドロにとって、生きることは自由を謳歌することだった。太陽の光に照らされ、青くまばゆくきらめく故郷ラ・コルーニャの海。その海を渡り、世界中を旅してまわった青春時代。だが、その輝かしい日々は、25歳の夏に唐突に終わりを告げる。

海を飛ぶ夢という映画が間もなく上映される。監督は「アザーズ」で知られるアレハンドロ・アメナーバル Alejandro Amenábar。スペイン本国ではゴヤ賞の、過去最多となる14部門を受賞。国外でも米アカデミー賞の外国語映画賞をはじめ、数々の賞を受賞してきた極めて評価の高い作品。
ア・コルーニャ近郊シューノ Xuño 出身の、ラモン・サンペドロ Ramón Sampedro という、実在の人物の生涯を描いたもので、サンペドロは手記「Cartas desde o inferno(地獄からの手紙)」、詩集「Cando eu caia(When I Fall)」などを著しており、映画の原題である「Mar adentro」も、その詩の題名(ガリシア語では「Mar dentro」)から採られた。

「尊厳死」という重苦しい主題ではあるけれど、ガリシアに興味を抱くものは、ア・コルーニャの海、ガリシアの自然の描写が素晴らしいという評判を聞けば、見過ごすことはできない。また、アメナーバル監督が自ら手掛けた音楽では、お馴染みカルロス・ヌニェス Carlos Núñez の奏でるガイタ(ガリシアのバグパイプ)が重要な役割を担っているようだ。日本でもサントラ盤は発売されるようだけど、フナック・スペインアマゾン・フランスで試聴が提供されている。

英語圏での題名は「The Sea Inside」で、原題の「Mar adentro」を逐語訳したものとなっている。「Mar adentro」は、本来は「Out to Sea」と訳されるのだけど、過去に同名の映画があったため、敢えてこのようにしたらしい。でもこれはこれで意味深で面白い。そして邦題は(いつでもなにごとにも不満を述べるひとというのはいるものだけど)、内容に沿った、印象に残る良い題名が与えられと思う。

以下は各国のプロモーションサイト。北米版の予告編が素晴らしい。

海へ
海へ
夢が叶えられる海底の無重力の中で
望みを満たさんと、ふたつの意思がひとつになる

君の目と僕の目は
まるで木霊のように、無言のうちに繰り返す
「もっと深くへ、もっと深くへ」
血と骨から成る全てのものを超えて

でも僕はいつも目覚める
そして死んでしまいたいと願う
そうすれば僕の唇を
いつまでも君の髪にからませていられるから

ラモン・サンペドロ Ramón Sampedro
海へ Mar adentro(一部)

Category: ガリシアのお勉強
Posted 2005年03月15日 22:18

2005年03月03日

ガリシア・オンTV

今回の事故では、重油が広い範囲に拡散したことが、被害を和らげてくれたと言えます。ガリシア地方で一番汚染が酷かった地域でも、汚染の密度はそれほど高くありませんでした。サッカー場くらいの広さの場所に、直径7センチの重油の粒が10個ある程度に過ぎないんです。

スペイン海洋学研究所 Instituto Español de Oceanografía
エドゥアルド・ハマール副所長

2/1(火)22:10~23:00に、NHK BS1の「BS世界のドキュメンタリー」 シリーズで、2002年秋に起きた、重油タンカーのプレスティジ号がガリシア沖合いで沈没した事件を扱った、「重油流出から海を救え ~ スペイン タンカー事故」が放送されたらしい(プレスティジ号事件の詳細はこちらとかこちらへ)。我が家にはBSの受信環境がないので、録画していただいたものを鑑賞。
これはTransglobe Filmsというスペインのドキュメンタリー制作会社が制作した、La costa herida (The Wounded Coast)という2003年の作品で、パンプローナで開催された2004年度のteleNatura(自然と環境の保護についての国際テレビジョン・フェスティバルらしい)で最優秀脚本賞を受賞したそうで、NHKでの放送が実現したのも、この受賞が契機なのかな?
事件の全体をバランスよく扱っていたディスカバリーチャンネルのものとは異なり、こちらは汚染の除去に奮闘する科学者たちに焦点を当てたもの。そのため、被害額は推定11億ユーロ、回収された重油は15万7000トンにも上るという事件の忌まわしさよりも、科学者たちの懸命の努力の甲斐あって、事件は万事解決した過去のものです、めでたしめでたし、といった、楽観的にさえ思える印象を残すものになってる気がしちまったですよ。

印象的だったのは、ドキュメンタリーの主旨とはズレるんだけど、荒波が打ち寄せる急な岩場での亀の手(ペルセベス)の採取シーンで、マヌエル・リバス Manuel Rivas さんの「蝶の舌」に収録されている短編、「ミスターとアイアン・メイデン El Míster & Iron Maiden」の後半、親子で漁に出かける場面はこういう光景だったのかと。
そして、これも主旨とはズレるんだけど、ガリシア全体でのムール貝の水揚げ高は30万トン超で、これはヨーロッパの37%、全世界の21%を占めるんだそうな。そして1万人がこの仕事に従事しているそうな。ふむふむ。

Category: ガリシアのお勉強
Posted 2005年03月03日 19:49

2005年02月14日

サラ・ヴィダウ Sara Vidal ~ ルアル・ナ・ルブレが新しいボーカルを発表

9年間のグループ活動に終止符を打ったロサ・セドロン Rosa Cedrón さんに代わる、ルアル・ナ・ルブレ Luar Na Lubre の新しいボーカル担当が、10日にプレスにお披露目され、オフィシャルサイトにも紹介が掲載されました。
新しいボーカルは、サラ・ロウラソ・ヴィダウ Sara Louraço Vidal さん。La Voz de Galiciaの記事によると、オーディションで15人の中から選ばれたということですが、セドロンさんの最後のアルバムとなった「Hai un paraiso」に収録の「O meu país」で、セドロンさんとデュエットしているのが彼女で、グループにもファンにも、既にその声はお馴染みなわけです。とは言え、オフィシャルサイトに掲載されている「O meu país」の解説にも「幸運な発見(afortunado descubrimento)」と書かれているように、それより以前に、よく知られたキャリアがあるひとではないようです。
なにより注目すべきは、彼女がガリシアのひとではなく、リスボン生まれのポルトガルのひとだということでしょう(てなことでここでは彼女の名前を、カタカナ・カスティジャーナ風の「ビダル」ではなく「ヴィダウ」と書いてみたりしてます)。前掲のLa Voz de Galiciaの記事には「ロサ・セドロンと同じキャラクターを探してはいなかった(no buscaba igualar las características de Rosa Cedrón)」と書かれていて、グループが新たな方向性を模索している一環なのだと思われ、特に「O meu país」に見られたファドへの傾倒が、年末に予定されている新しいアルバムでは強まることになるのかもしれません。
オフィシャルサイトには、早速彼女が歌う「O meu país」と「Tu Gitana」の録音が公開されていて、同じところにセドロンさん版の「Tu Gitana」もあるので聴き比べてみることができます。ヴィダウさんは1980年生まれの現在24歳と、現在33歳のセドロンさんと比べて随分若いわけですが、セドロンさんのドスの効いたハスキー声(なんか失礼だなw)に比べると、素直な感じの声に聞こえます。
以前から告知されていた通り、グループは4月からコンサートツアーを行うわけですが、ファンに初めてヴィダウさんがお披露目される、そのツアーのスタートは、彼女の出身地リスボン。新生ルアル・ナ・ルブレのキーワードは、やはりポルトガルなのだろうか。

Category: ガリシアのお勉強
Posted 2005年02月14日 20:38

2005年01月24日

LUAR NA LUBRE 2005 ~ ありがとうロサ!

ルアル・ナ・ルブレのオフィシャルに、21日付けでLUAR NA LUBRE 2005と題された記事が掲載され、ワーナースペインからのCDリリースによる、いわゆるメジャーデビュー以来、チェロ兼ボーカルとして活動してきたロサ・セドロン Rosa Cedrón さんが、グループを脱退し、ソロ活動を開始するということが正式に発表されました。4月にリスボンで予定されているコンサートに向けて、新しい女声ボーカルを迎え入れる予定だそうで。あと、新しいアルバムを年内にリリースする予定とのこと。
音楽面ではもちろん、ビジュアル面でもグループの魅力に大きく貢献してきたセドロンさんの脱退は残念ではありますが、既にこちらに、彼女のサイトも開設されてたりして、やる気まんまんのご様子なので、今後は彼女のソロ活動にも注目していこうと思いますです。

Category: ガリシアのお勉強
Posted 2005年01月24日 20:21

電子MIDIパイプ(ガイタ)

電子MIDIパイプ(ガイタ)を奏でるビエイト・ロメロ Bieito Romero ちょいと前のハナシなんですが、Desde Galicia para el mundoで、ルアル・ナ・ルブレ Luar Na LubreのUah lúa (Folla do Visgo) のプロモーションビデオが放送されてました(どういう流れでこの映像が登場したのかは、例によってわかっちゃいません)。
で、まあ、そんな映像がテレビで拝めること自体ビックリなのはもちろんなんですが、それ以上に目を惹いたのは、写真の、ビエイト・ロメロ Bieito Romero さんが操っている楽器。こりゃあ、ホセ・アンヘル・エビア José Angel Heviaさんでお馴染み、エレクトリックMIDIパイプじゃありませんか。しかもエビアさんが愛用しているのは、ボディカラーが赤なんですが、こいつは青ですよ。
あう、ちょっと欲しいぞ、これ。しかし、エビアさんのHevia, Parrado y Aragón社のカタログには相変わらずなんの情報も無く、なんかないかいな、と思ってググってみたら、アイルランド音楽を扱ったこちらのサイトのフォーラムにて、こんな記事を発見。嗚呼、なんかとっても面白そうじゃねえか、これ。

Category: ガリシアのお勉強
Posted 2005年01月24日 19:55

2005年01月06日

ADEUS ANO VELLO, FELIZ ANO NOVO!

サンティアゴ・コンポステラの大聖堂とシャコベオくんの着ぐるみ あけましておめでとうございます。
旧年中は格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。本年も変わらぬご支援のほど、宜しくお願いいたします。

…というエントリーを年が明けたら作ろうと思ってたら、案の定、年が明けてから今まで、ログインすらしていなかったというオチ。
タイトルはガリシア語で「Good-bye Old Year, Happy New Year!」のつもりなんだが、あってるのだろうか?

Category: ガリシアのお勉強
Posted 2005年01月06日 22:24

2004年12月31日

サンティアゴ巡礼へ行こう! ~ 歩いて楽しむスペイン

カミーノ・デ・サンティアゴに関する出版物は多数あれど、その殆どは精神的側面を重んじた、読んでてしんどくなるような類ばかりなわけですが、先月出版された、中谷光月子さんのサンティアゴ巡礼へ行こう! ~ 歩いて楽しむスペインは、「もっと気軽に巡礼を始めてみませんか?巡礼の形は、人それぞれ。固定観念にとらわれず、さぁ、出発しよう」と呼びかける、従来のこの類のイメージを覆すもので、カミーノが地上波のバラエティ番組で紹介されたりする昨今、このような本が出版されちゃうということは、カミーノの旅というものがニッポン人にも一般的なものになりつつあるということなのかしら。

この本は、なによりCamino Francésの実践的なガイドブックであるわけですが、旅行会社のスタッフとして何度もその地域を訪れ、自身でもカミーノを踏破し、スペインとフランスに留学の経験を持つという著者は、この本のあちらこちらに、その周辺地域に関するありとあらゆる種類の雑学を散りばめていて、その内容の豊富さと正確さ(たまに細かい間違いもあるようですが)には、それまでそうしたことを書いてくれてる本がさっぱり無かっただけに、びっくらこかされます。

いかんせん巡礼というものを神聖視する向きが怒り出しそうな箇所もあったりするわけで、そうしたかたには避けておいていただきたいわけですが、そうではなく、カミーノを旅してみようかと思ってるひとは他のあらゆる本を差し置いて読んでください。そしてCamino Francésの周辺地域にただならぬ興味を抱くニッポン人には、この書籍の登場自体が奇跡ですよ。

Category: ガリシアのお勉強
Posted 2004年12月31日 17:21

シャコベオくん

シャコベオくん なんだかんだで結構気に入ってて、あちこちで使ってるこのキャラクターは、サンティアゴの聖年を祝うXACOBEOのマスコットをちょっぴり改造したものなわけで。
で、そのキャラクター、名前はどうなってるんだろうと思っていたのだけど、中谷光月子さんのサンティアゴ巡礼へ行こう! ~ 歩いて楽しむスペインによると、やはり正式名称はないのだけど、シャコベオくんと呼ばれてるらすい。いや、実はおいらも当初は、XACOBEOのマスコットだからと、安直にシャコベオくんと呼んでたわけだが、考えてみればこのキャラはヤコブ(XACOBEOはガリシア語で「ヤコブの~」)ではなく巡礼者なわけで、以来ピルグリムくんと呼んでいたのだが、どうやら安直で良かったらしい(´ー`;)

シャコベオくんの初登場は1993年。ちゃんとした名前も与えられず、それ一発で消え去るかと思われていたら、99年にはシャコベオくんに口紅を塗ってマスカラを付けたシャコベアちゃんまで登場。
中谷さんの本によると、バルセロナ・オリンピックのマスコットとして一躍世界に名を馳せたcobiくんは、バルセロナでは未だに埃を被ったキャラクターグッズが定価で売られてたりするのに、スペイン人にさえロクに知られていないシャコベオくんの場合、初登場した93年の年末にはキャラクターグッズが叩き売られていたそうな。

実はシャコベオくんに愛着を持つようになったのは旅行から帰ってきてからのことで、今ではコンポステラでシャコベオくんグッズを買い込んでくればよかったと後悔してたりします。

Category: ガリシアのお勉強
Posted 2004年12月31日 16:22

2004年12月13日

ガリシア・オンTV

ディスカバリーチャンネルが、2002年にガリシア沖合いで重油タンカーが沈没した事故を扱ったプレスティジ号座礁事件を放送。このチャンネルらしい良質のドキュメンタリー。事故についてはこちらとかこちらへ。

TVEスペインチャンネルの、ガリシア地方の紹介番組Desde Galicia para el mundoの今朝の回はコルーニャ。ようやく見慣れた風景の登場で、言葉がわからなくても楽しめますた。

Category: ガリシアのお勉強
Posted 2004年12月13日 16:44

2004年12月07日

エビア Hevia

ホセ・アンヘル・エビア José Angel Hevia コクーン様が録画してくださっていたTVEスペインチャンネルのConciertos de Radio 3という音楽番組に、エビアことホセ・アンヘル・エビア José Angel Hevia さんが登場。30分番組の殆どはオビエドで収録されたインタビューで、例によってスペイン語シロートにはワケワカラン内容。そして、インタビューの合間にコンサートの模様が挿入されるのだけど、数十秒ずつちまちまと、出ては消えを繰り返す蛇の生殺し。しかしMIDIガイタなんていうぁゃしぃ楽器の演奏風景を見れるのはなんだかんだで貴重。ブエルタ・エスパーニャのテーマでもお馴染みのヒット曲 Busindre Reel も、サワリですがやってますた。
しかし、このひとはやはり、本質的にはダンス/ポップ/ロックのひとだ。音のツクリもそうなんだけど、ステージ上でのパフォーマンスを見てるとつくづくそう思う。MIDIガイタなんてヘンテコなものを発明することになったのも必然な気がしたですよ。

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Posted 2004年12月07日 19:21

2004年11月30日

ガリシア・オンTV

ABC/テレビ朝日の旅行バラエティ旅サラダの11月の海外部門は、タレント加藤紀子さんがスペイン各地を案内するというものだったのですが、土曜日に放送されたこのスペイン編の最終回を飾ったのはカミーノ・デ・サンティアゴ。地上波の、しかもバラエティ番組としては意外な選択だったわけですが、やはりツクリは地上波バラエティの王道。暗いネタに走りがちな巡礼路ネタをあっさり爽やかに片付けていて、決して巡礼路を踏破するわけではない観光旅行者が参考にするのに、コンパクトにまとまった適当なツクリ。

そして月曜の早朝にはTVEスペインチャンネルで、ガリシア地方をシリーズで介しているDesde Galicia para el mundoの新作が放送。それに伴いこちらの、番組映像の一部が見れるコーナーも更新。
しかし相変わらず、どこだかよくわからん鄙びたド田舎の、しかもやたらと汚い映像(TVEインテルナシオナルなので元々の映像からして決して麗しくはない上に、トラポン代をケチるために、エンコのビットレートがスカパー中でも最低クラス)にスペイン語のナレーションを延々と被せた、2時間近く正視するにはツライ番組でありますw

そしてこれは再放送ですが、これまではガリシアなんて興味がなかったので未見だった、EXエンタテイメントのカミーノ・デ・サンティアゴのドキュメンタリー、スペイン1000年の歴史街道
母親を亡くし強いショックを受けていた折、パウロ・コエーリョ Paulo Coelho さんの「星の巡礼 O diário de um mago」に出会い、感銘を受けたという山辺千恵里さんというタレントさんをキャスティング、レオンからコンポステラまでの400キロの道のりを踏破する彼女の姿を通してカミーノの精神的側面を表現した良質のドキュメンタリーで、木曜日に放送された最終話では、いよいよガリシアに到達。セブレイロ峠を越えるところから始まり、コンポステラへの到着が描かれてますた。
夏にラ・コルーニャへの旅に踏み切ったキッカケのひとつは、このチャンネルで放送されたガムシャラ旅行団(メコン編)だったわけですが、かつてのフジヤマツアーズ然り、相変わらずステキな番組を作ってくれてます。

さてこうした番組の放送予定を、事前に把握しているわけはもちろんなくw、それでも斯様に逐次チェックできているのも、往年の名機コクーン様が、「スペイン」と「ガリシア」というキーワードで次々と番組を録画してくれてるおかげでありんす。ありがたいよ、ママン。

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Posted 2004年11月30日 22:10

2004年10月20日

ビセンテ・リスコ Vicente Risco

ビセンテ・リスコ Vicente Risco 以下は、スペインにおける国家と地域 ~ ナショナリズムの相克の第6章「ガリシア主義の歴史 -「ケルトの神話」から急進的社会主義へ-」からの抜粋で、ガリシア主義のバイブルとされる「ガリシア・ナショナリズムの理論 Teoría do nacionalismo galego」を著し、ガリシア・ナショナリズムを代表する思想家とされるビセンテ・リスコ Vicente Riscoさん(1884~1963)の思想の骨格を、この章の著者である中塚次郎さんがまとめられたもの。

ナショナリズムとは、民族が個性の承認を国家に求める運動であり、必ずしも独立を要求しない。ナショナリズムが必要とされるのは、スペイン国家が伝統や文化を奪い、カスティーリャの利害を優先してガリシアを後進地域にしているからである。地域主義とのちがいは、地域主義が政治的自治だけを要求するのに大して、ナショナリズムが総合的な自治(アウトノミア・インテグラル)つまり経済的な発展や文化の創造・精神的再建をもめざす点にある。伝統的文化は過去のものではなく、発展させるべきものである。ナショナリズムは民主主義の運動でもある。集権的国家は諸民族を抑圧する国家形態であり、諸民族を尊重する民主的な連邦制が理想とされねばならない。ナショナリズムは自由抑圧や侵略主義つまり帝国主義とは無縁であり、反帝国主義の立場に立つ考え方である。
ナショナリズムはいまや流行となっているが、民族に関する議論に混乱がある。民族観には意思の理論(テオリア・ダ・ポンターデ)と有機的概念(コンセイト・オルガニコ)の二つがある。意思の理論は、民族を人間集団の意思による政治的共同体とみなすが、誤っている。民族は意思とは無関係な精神的で有機的な存在であり、その根拠は起源としての人種、人種を民族に育てあげる独自の自然にある。「母なる大地(Terra-Nai)」で育まれた民族精神(フォルクスガイスト)は、気質、独自の生活規範、慣習、文化、言葉となって具体的に表われる。
民族をこう考えれば、ガリシア人はカスティーリャと対照的な湿潤温暖な大地に育まれ、それゆえドウロ(ドゥエロ)河以北のポルトガルと共通の民族ということになる。ここにイベリア連邦を結成すべき理由がある。ガリシアの起源はケルトとゲルマンであり、白い肌とブロンドの髪にその特徴が表われる。ケルト人はローマに敗北しケルト語を失ったものの、ガリシア・ポルトガル語という言語をつくりあげた。ローマ人のあと西ゴート王国がやってきたが、ガリシアだけはスウェーヴィ王国のもとで170年にわたる独立を維持した。ガリシア人の人種的特質はこの結果である。のちにカスティーリャの支配を受けても、ガリシア人はその優秀性ゆえに人種的特長を失わなかった。わがガリシア語は、世界で最も美しい詩の言葉であり、中世文学において秀でた役割を果たし、カスティーリャ宮廷の言葉にもなった。その後、カスティーリャ語強制策のもとエリートに捨てられ農民の言葉となったが、このことはガリシア語を貶めるものではない。貧しいが平等な社会を保った農民のあいだでこそ、民族の言葉は維持されたのである。気質について言えば、冷静・勤勉・忍耐そしてサウダーデである。
スペインはガリシア、バスク、カタルーニャ、カスティーリャの四民族で構成される。スペインを豊かにするはずの民族的多様性は、カトリック両王に始まるカスティーリャの支配によって抑圧された。ガリシアは独立性を徐々に縮小されながらも、ガリシア地方評議会が自治的機関として残った。独立が最終的に奪われたのは19世紀であり、その復活をめざしたのがプロビンシアリスモであり、地域主義である。残念ながら、大衆はカスティーリャ優位のイデオロギーのなかで、ガリシア人たることにコンプレックスを感じ、これに呼応しなかった。民族意識を覚醒させるのがエリートの使命であり、エリートはユートピア思想を遍歴したのち、わが大地にこそユートピアがあることを発見した。
歴史の原動力は民族であり、ヨーロッパの歴史はラテン的地中海民族とケルト的大西洋民族の対抗の歴史であった。「ヨーロッパの没落」は、ローマ帝国以来の地中海民族による支配の終焉を意味するにすぎず、これからは抑圧されてきたスコットランド高地、マン島からガリシアに至るケルト系七民族の時代である。ケルト大西洋諸民族復活と再建の象徴がアトランティスであり、サウダーデは失われた大陸への郷愁と信仰なのである。

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Posted 2004年10月20日 21:06

2004年10月08日

ホタテと、ヒオウギと、マドレーヌと、シェル石油

サンティアゴ巡礼路を行くピルグリムの象徴と言えばもちろんホタテなわけですが、ひとくちにホタテと言っても様々な種類があるわけで。
微小貝の貝類図鑑によると、ホタテガイ(帆立貝)とは、二枚貝綱 翼形亜綱 ウグイスガイ目 イタヤガイ超科 イタヤガイ科に属すPatinopecten yessoensisという学名のものだそうで、これは松島湾を原産として東北以北からオホーツク海に分布するものということで、名著「リアスの海辺から」の著者である畠山重篤さんが養殖されているのがこれなわけですね。

ではサンティアゴの「ホタテ」と言われているものはなにかと言うと、その名もズバリ、学名Pecten jacobaeus、英語ではSt. James' Scallop(聖ヤコブのホタテ)というものがあって、これなのかなと。ただし、分布が「地中海、カナリー諸島」となっているので、勝手にそういう名前を付けられただけなのかもしれませんが。

ヒオウギ貝の細工 貝類図鑑のイタヤガイ科には現時点で101種類が登録されていて、カタチや色合いも様々です。
その中でもヒオウギ(緋扇)という種類は、その殻が様々な色に彩られたとても美しいものです。
これはホタテガイとは異なり、本州中部以南や西太平洋という暖かい地域に分布するもので、その美しい殻が工芸品や装飾品に加工され販売されているのですが、えひめ産業振興財団産業情報センターのEコマースサイトでは根付けキーホルダーストラップが販売されています。
こうした色鮮やかなヒオウギの装飾を身に付けサンティアゴ巡礼路を行けば、かなり注目を集めそうですね。ガスサポとしてはできれば青と赤のヒオウギを身に付けたいところですが、赤いヒオウギはあるのですが、青はないだろうなあ。

さて、ところでホタテと言えば、マドレーヌというお菓子はこちらに拠ると「修道院でお菓子をつくる時に使われていた伝統の形で、巡礼のお守りである帆立貝を模した」と言われているらしい。同じページに拠ると「ポーランド王のために召使のマドレーヌ・ポエミが創作し、栄誉を称えられたのが名前の由来」なんだそうな。

シェル石油のロゴ さらに蛇足。シェル石油と言えばホタテを象ったロゴマークで知られているわけですが、Pectenと称されるそのロゴマークは、サンティアゴ巡礼とは関係なく、その母体となったユダヤ人のマーカス・サミュエル Marcus Samuel さんが1833年にロンドンで開業した骨董・装飾品を扱う店が、極東産のエキゾチックな貝殻で作った装飾品の輸入によって大きな利益をあげたことに由来するそうで、こちらに、そのロゴマークの歴史と、デザインの変遷をまとめたPDFがあります。
なおシェル石油の現在のロゴマークは、工業デザインの父と呼ばれるレイモンド・ローウィ Raymond Loewyさんによるものなんだそうで。
この方、タバコの「ピース」のデザイナーでもあるそうで、JTのたばこと塩の博物館で「20世紀デザインの旗手」と題された特別展が開催されてたそうです。

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Posted 2004年10月08日 22:23

2004年10月07日

ガリシアはケルトか?

手っ取り早くガリシアを知りたいなら、武部好伸さんのスペイン「ケルト」紀行がお勧めです。これはケルトマニアの著者が各地のケルト遺跡を訪ねて周るという、○○「ケルト」紀行シリーズの一冊なのですが、このガリシア編では、その歴史や文化のひと通りの紹介にかなりのページが割かれていて、色々な資料を読み漁る手間が省けます (そしてそういう類の書籍が、残念ながら他には存在しないのです)。
ところで肝心のガリシアのケルト遺跡探訪はどうなのかというと、もちろん幾つか訪れるのですが、失礼ながら正直いずれも大したものではなく、確かにかつてここにはケルト人が住んではいたのだということを偲ぶことができる程度のもので、規模も、現代への影響も、ケルトの遺産を受け継ぐと言われる他の地域のものと比較すると寂しいように思えます。
武部さんも書かれていますが、他のケルト諸地域は、程度の差こそあれ、いずれもケルト人の言語が現代にも受け継がれているという共通点がありますが、ガリシアは確かに独自の言語を有しますが、それはケルトの言葉ではなくロマンス諸語のひとつなわけです。
部外者がガリシアで「ケルトらしさ」を強く感じるのは民族音楽の分野だと思いますが、考えてみればそれ以外で他のケルト諸地域と似通ったものを感じる機会は極めて少ないように思われます。いや、そもそも音楽に関しても、現在のケルト諸地域の民族音楽と言われているものは決して古代ケルト人が演奏していたものではないわけです。
さて、果たしてガリシアはホントに「ケルトの遺産を受け継ぐ地」なのでしょうか?

てなことを思っていたら興味深い文章を発見。2003年の3月に、スタッド・ド・フランスで開催されたイベント「La Nuit celtique」を紹介するル・モンド誌の記事のプランクトンによる翻訳で、以下ポイント部分を抜粋。

あるディナーの席でのこと。ガリシア自治州知事のマヌエル・フラガが「ケルト文化の存在」に疑問を唱えた。フラガは、以前フランコ独裁政権の情報観光相を務めた経験をもつ90歳の長老。彼自身もガリシアの北部に位置するヴィラルバの出身。この村は、人気アーティスト"マヌ・チャオ"の父方の故郷でもある。そのマヌエル・フラガが、ブルターニュ地方、ガリシア地方、アイルランド、スコットランド、アストリア地方をひとつのケルト文化と位置づける説に対して「科学的に実証されているわけではない」と言い放ったのだ。
それに対して、ガリシアのヴィゴ出身で、フルートとガイタのミュージシャンであるカルロス・ヌニェスが反論する。「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼に関する全てのことが実証されているというのですか。されていません。でも、素晴らしい神話ではないですか!」
歴史的根拠から言えば、1131年にサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指したエメリック・ピコーの巡礼の方が、ガリシア地方のケルト文化説に比べて、より信憑性を持つのは確かであろう。しかし、ラモン・チャオ(マヌの父で、ジャーナリスト)は語る。
「ケルト文化の類似性は否定できない。伝説にしても、信仰にしても、料理にしても、それにもちろんバグパイプの存在。確かに、科学的には証明されていない。でも美しい話じゃないか。私が自分をケルト民族だと感じるのは、美しいかどうかの基準に拠っているね」

ガリシア州知事の発言としてはかなり問題あるかと思われますが(どういう文脈で語られたのかはわかりませんが、この人物の経歴を考えればあり得ない発言ではないw)、「科学的」という点では、フラガの発言は至極正当なもので、カルロス・ヌニェスやラモン・チャオの反論は歩が悪いわけです。

ガリシアにおけるケルト云々は、ガリシア主義が生まれ育っていく過程で、スペインの他地域との差別化を図る上で強調されていった要素なのであろうと思われます。

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Posted 2004年10月07日 23:09

スペインにおける国家と地域 ~ ナショナリズムの相克

リーガ・エスパニョーラに興味を持ったサカオタは、FCバルセロナはカタルーニャ・ナショナリズムの旗艦であり、カスティーリャ中央政権の象徴であるレアル・マドリーとの一戦は、その代理戦争なのだと教えられます。
スペインからの分離・独立の動きが盛んなバスク地方のクラブ、アスレティック・ビルバオは、バスク人による純血主義を貫いており、スペインの他の地域出身の選手を採用しないのだと教えられます。
あるいは、リーガ・エスパニョーラの隆盛と比較してスペイン代表チームが好成績を残せないのは、スペインは地域的、民族的な多様性を抱える特殊な国家であるため代表チームとしてまとまることが困難なのだと教えられます。
しかしデポルティーボ・ラ・コルーニャを始めとしたガリシアのクラブについて、バルサやビルバオと同様のハナシを耳にすることは殆どありません。それに地域主義やナショナリズムが存在するのは決してスペインだけに限ったことではありません。

ガリシアに興味を持ったときに最初に浮かんだ疑問のひとつは、カタルーニャやバスクと同様に独自の言語を有し自治権を獲得している地域でありながら、これらの地域と異なり民族の独立が高らかに謳われているわけではないのは何故なのだろうということです。
フェロルの出身であるフランコが、ガリシアを含むカスティーリャ以外のあらゆるナショナリズムを弾圧しカスティーリャ語以外の言語の使用を禁じたのはなぜなのか。そのフランコ政権の要人であったマヌエル・フラガ Manuel Fraga のような人物が、未だにガリシアで力を持っているのは何故なのか。
こうしたことを理解するためには、ガリシア及びスペイン全体の政治的な歴史と思想を辿る必要があるわけですが、スペインにおける国家と地域 ~ ナショナリズムの相克という書籍はこの需要に応えてくれる貴重なものです。
編者のひとり立石博高さんのウェッブサイトにはしがきがが掲載されていますので、そちらで概要は理解できるかと思います。カタルーニャやバスクを個別に論じた書籍は幾つかありますが、ここではこれらの両地域とガリシアに加えて、独自の言語を持たないアンダルシアの、それぞれの地域主義やナショナリズムが詳説されており、それらの地域、そしてスペインという国家を理解する上で大きな助けとなってくれます。
全てのリーガオタは必読。

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Posted 2004年10月07日 22:37

蝶の舌 ¿Qué me quieres, amor?

ホセ・ルイス・クエルダ José Luis Cuerda さんが監督した映画蝶の舌が公開されたことで、ラ・コルーニャ出身で、現代ガリシア文芸の革命児と言われるマヌエル・リバス Manuel Rivas さんの原作小説「¿Qué me quieres, amor?」が邦訳されているわけですが、ガリシアオタにはなかなか興味深い点が幾つもあり、立教大学でラテンアメリカ文学を研究されている訳者の野谷文昭さんによる解説も勉強になる点が多々あります。

この書籍は、その装丁も素敵で、映画と共通の「蝶の舌」とういタイトルロゴの「の」の部分が、デザインとして随所に、さりげなくあしらわれています。
渦巻き状にデザインされたこの「の」は、おそらく蝶の舌をイメージしたものなのでしょうが、ガリシアが舞台ということでケルトの紋様としての渦巻き espiral が否応でも連想されます。このデザインが意図的だったのかはわかりませんが、意図的だったとしたら、デザイナーさん、グッジョブですね。ちなみに本国スペインやアメリカ合衆国 (こちらは「Butterfly」という味気ない題名) のタイトルロゴはごくフツーのデザインです。
もしかして意図的なのかと思えるのはこちらに書いたGallaeciaというフォントの、「G」の文字を時計回りに90度回転させると、このタイトルロゴの「の」にそっくりになるのです。正確には微妙に違っているので単なる偶然かもしれませんが、敢えて変形させたということも考えられます。ガリシア風フォントを変形してひらがなにしてしまい、そして蝶の舌にも見え、かつガリシアのひとびとの精神的拠り所であるケルトの紋様にも見えるようなデザインを作っていたのだとしたら、これは大したものです。
そして、そのデザインを効果的に利用した書籍の装丁も、とても素敵です。

さて、こちらのページにこの邦訳本の素敵な書評が掲載されているのですが、このサイトには、こうした書評の他にも素晴らしいコンテンツが満載です (個人的お気に入りはボサノヴァ日本語化計画というコーナー)。
こちらでも触れられている、デポルティーボを応援する親子のハナシ「ミスターとアイアン・メイデン El Míster & Iron Maiden」のタイトルであるEl Místerは、「スーペル・デポル」を創り上げたアルセニオ・イグレシアス Arsenio Iglesias Pardo 監督のことだと思われますが、デポルオタの皆さまいかがでしょう?

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Posted 2004年10月07日 21:49

ガリシア風フォント

ガリシア風フォント ガリシア風フォントなるものを発見。
ひとつは「Gallaecia」、もうひとつは「Castelao」 (フォント名は「Nova Outubro」) という名前で、フリーウェアとして供された模様で、幾つかのサイトでダウンロードできるようになっています。例えばこことか。これらはウィンドウズ用のフォントですが、TTConverterなどで形式を変換すればマッキントッシュでも利用できます。

なんかこの辺に紹介記事らしきものがあるのですが、ガリシア語なのでさっぱりわからない (笑)
Gallaeciaの作者は、「初のガリシア語コミックウェッブサイト」と謳った@meixa Comicsというウェッブサイトをやってらっしゃった漫画家の Alberto Varela Ferreiro さんという方のようですが、いかんせんサイト自体はとうに更新を停止しているようで、フォント自体のダウンロードも、なにやらメールくれ、みたいな感じになってます。
Castelaoの方は多分こちらのサイトの方が作者のようですが、これまた更新がとうに停止されている模様なので、そもそもなんのサイトで、どういう方なのかよくわからない。

いずれにせよ両方とも素敵なフォントで、特にGallaeciaの「G」とCastelaoの「@」が、ケルトの紋様を想起させる渦巻きになっていて、ガリシアオタには堪りません。

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Posted 2004年10月07日 17:55

2004年10月06日

にぎやかな森 El bosque animado

映画蝶の舌を監督したホセ・ルイス・クエルダ José Luis Cuerda さんは、以前にもガリシアを舞台にした「にぎやかな森 El bosque animado」という映画を監督しているのですが、これは1943年に出版されたベンセスラオ・フェルナンデス・フローレス Wenceslao Fernández Flórez さんの同題の小説が原作となっています。フェルナンデス・フローレスさん (1885~1964) はラ・コルーニャ出身の、20世紀初頭に人気を博した小説家で、1950年にはラ・コルーニャ市から名誉市民の称号を授与され、ラ・コルーニャ市内には彼の名前を冠した通りもあります。

さて本題は、その小説が2001年に再び、今度はCGアニメーションで映画化されていたという話題。
フェルナンデス・フローレスさんの小説も、いずれの映画も未見なのでなんとも言えませんが、クエルダさんの映画はおそらく原作のかなり自由な翻案ではあろうと想像され、CGアニメーションの方が原作に沿ったものなのではと思われます。もっとも映画の公式サイトにある予告編を見る限り、よくありがちなガキンチョ向け作品のようなのですが、長編「七つの柱」や「スペイン幻想小説傑作集」に収められた短編「暗闇」といった、邦訳されているフェルナンデス・フローレスさんの作品の極めて幻想的な物語とは、随分と雰囲気が異なるので、ホントに忠実な映像化であるのかは怪しい気もしますが。
いずれにせよ、ガリシアを理解するキーワードのひとつは森であり、この物語でも森が重要な役割を果たしているようなので、これは是非とも見てみたいものです (本国ではDVDがブエナ・ビスタよりリリースされています)。
この物語の森は、セセブレ Cecebre のフラガ fraga にあるとされています。フラガは広葉樹の混交林を指すガリシア語のようで、最も有名なフラガはFragas do Eumeだそうでございます。

この映画の謳い文句は「スペイン初の全編CGアニメーション」 ということで、国内ではゴヤ賞を受賞するなど高い評価を得ているようです。アメリカ合衆国では「The Living Forest」または「The Animated Forest」というタイトルで、映画祭などには出品されているようですが、劇場公開はされていないようです。なおこの作品は、最終的に「千と千尋の神隠し」が受賞した第75回アカデミー賞最優秀長編アニメ映画部門の選考対象となった17作品のひとつだったそうです。

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Posted 2004年10月06日 14:57

2004年10月05日

ロサリア・デ・カストロ

ロサリア・デ・カストロ Rosalia de Castroさんは19世紀のガリシア文芸の復興期に活躍され、カスティーリャ文芸においてセルバンテスが果たした役割をガリシア文芸において果たしたとされる偉大な方なわけですが、その代表作である詩集「Cantares Gallegos」 (1863) が、ガリシア語研究の第一人者であり、新星堂オーマガトキ版のルアル・ナ・ルブレのリリースなどで訳詞を手がけていらっしゃる、津田塾大学の浅香武和さんによって日本語に翻訳され、「ガリシアのうた」と題され、DTP出版という会社から2002年にリリースされていました (と言っても、社名の通りの「DTP出版」なので一般の書店ではおそらく入手不能な気がします)。
掲載されているのは訳詩のみなのですが、欲を言えばオリジナルのガリシア語のテキストを添えていただければ嬉しかったかなとは思いますが。

また、詩人の桑原真夫さんが書かれた「ロサリア・デ・カストロという詩人」という研究書 (1999) があるそうで (ネット通販は軒並み品切れで、武蔵野三鷹の図書館も所蔵していない)。
桑原真夫さんは、ベルギー出身のシャンソン歌手ジャック・ブレル Jacques Brelさんの、全詩の翻訳を手掛けられ、「ジャック・ブレルという詩人」と題した研究書も書き上げておられるそうな (残念ながら出版には至っておられない模様)。
桑原さんが、なんでまた日本では殆ど知られていない19世紀のガリシアの詩人に注目したのかも気になりますが、ジャック・ブレルさんとなにか接点があるのだろうか?
蛇足ながらこちらのページで、ジャック・ブレルさんについてサクっと知ることができます。

Cantares Gallegos さて、Cantares Gallegos には、J. Torres Creo というひとがメロディーを付けた歌曲が存在する模様。
Aula de Música Tradicional Gomes Mouroというサイトの左サイドメニューを「Mediateca」→「Partituras」と進むと、「"Cantares gallegos" Letra de Rosalia de Castro, musica de J. Torres Creo」というのが出てくるかと思いますが、そのリンクの先に楽譜のスキャン画像が掲載されています (ページ上では音符の確認まで出来るような解像度には思えませんが、貼り付けられている画像は、実際はかなりサイズのデカいものなので、いったんローカルディスクに保存するとバッチリOKです)。

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Posted 2004年10月05日 19:03

風笛

カミロ・ホセ・セラ Camilo José Celaさんは1989年度のノーベル文学賞を受賞したカスティーリャ文学界の重鎮ですが、この方ラ・コルーニャ県とポンテベドラ県の境にあるPadrón市のIría Flaviaという町の出身の、バリバリのガリシア人だったりします。
で、1983年にリリースされた小説「二人の死者のためのマズルカ Mazurca para dos muertos」は、セラさんの故郷が舞台なのですが、中京大学でスペイン近現代文学を研究されている有本紀明さんによる日本語訳の冒頭には「ガイタ」とルビのふられた「風笛」という言葉が登場します。

ガイタ 大辞林で「バグパイプ」をひくと「ヨーロッパの民族楽器。皮袋に数本の音管をつけ、皮袋にためた空気を押し出しながら奏するリード式の吹奏楽器。スコットランドのものが有名。風笛。袋笛。バッグパイプ」と出ています。なるほど、訳語としてはアリなのですね。
しかし「風笛」という言葉は、木製やら土製やらの、縦笛だとかオカリナだとかいった類の簡素な構造の笛をつい想像してしまいます。
ロマンチックなフレーズなのはいいのですが、ガイタという楽器を知らないひとや、風笛がバグパイプの訳語のひとつであると知らないひとはかなりいる筈で、ガイタの訳語として使う場合には注釈が必要でしょうね。

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Posted 2004年10月05日 15:09

Aoaka Style Valid Aoaka