2006年01月31日
深海大気潜水服「JIM」
レトロな工業デザインに惹かれる今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
このときに、中のマネキンさんの表情があまりにもコワスだったのでついつい写真に収めてしまった深海大気潜水服「JIM」。そういや、なんでJIMなんだ?と気になったので調べてみたら結構面白かったのだけど、あいにくまとまった日本語ドキュメントが見当たらなかったのでメモメモ。
ちなみに、船の科学館のJIMの銘板に書かれてるのは以下の通り。
イギリスのオーシャニアリング社が開発した宇宙服を思わせる潜水服JIMは、オペレータを地上と同じ1気圧の状態のままで深海に懸垂沈降させるというユニークなものです。これまで北極海の氷山の下での困難な作業、340mの深度での建設および補修作業など、高性能のマニピュレータを駆使して、数々の実績を残しています。
JIMは、大気圧を保ったまま深海での作業を可能にする、ADS(Atmospheric Diving Suit=大気圧潜水服)と呼ばれるもののひとつ。
JIMの原型は、英国人ジョセフ・ペレス Joseph Peress が1920~30年代にかけて開発していた、トリトニア Tritonia と呼ばれる潜水服なのだけど、これは充分な商業的関心を集めることができず(いかんせん当時は、それほどの深海に潜る需要が殆ど無かった)、その後30年近くも忘れ去られてしまう。1960年代に油田の探索競争が激化すると、より深い海中でよりスムーズに作業を行えるADSが遂に注目され、英国のUnderwater and Marine Equipment Ltd.(UMEL)は、別分野で成功を収め80歳になっていたペレスを説得。グラスゴーでゴミの山に埋もれていたトリトニアを見つけ出し、その改良型の開発に取り掛かった。こうして完成したUMELのADSがJIMである。JIMという名前は、かつてペレスの助手で、トリトニアの最初のダイバーとなったジム・ジャレット Jim Jarrett に因んで名付けられた。
後に、JIMに関する諸権利はOceaneering International Inc.に売却される。船の科学館の銘板に「オーシャニアリング社が開発した~」とあるのはこのため。
以上の参考ドキュメント
- 一人乗り大気圧潜水システム開発の歴史
- History of Atmospheric Diving Suits
- The Tritonia diving suit
このドキュメントは、同じ内容のものが他のサイトにも見られるのだけど、初出は多分DIVER誌。残念ながらDIVERNETのウェブページは、サイトのリニューアルに伴い放棄されてるっぽいのでWayback Machineにリンク。The Scribe - Journal of Babylonian Jewry(ペレスはユダヤ人)に掲載のものは、内容は端折られているけどペレスの写真あり。
ADSやJIMという名称は知らなくても、この潜水服には見覚えのあるひとも多いと思う。最近では、2001年に海洋堂が発売した、「深海探査服」と名付けられたフィギュア(元々はダイドー「MIU」の、販促用ボトルキャップ「深海生物フィギュアコレクション ~ The Deep Sea Odyssey」のひとつとして作られた)のモデルがこれだし、ガジェット好きの007シリーズは、1982年の「ユア・アイズ・オンリー」にJIMを登場させている(参考:James Bond Multimedia - For Your Eyes Only gadgets)。
さて、JIMについて調べていてなにが面白かったかというと、なんといってもレトロなデザインの元祖モビルスーツの数々なわけで。この手のものを蒐集しまくっていたDiving Heritageというサイトがあったのだけど、残念なことに2005年の夏頃にサイトを閉鎖してしまったらしい。そうなると、ここはやはりWayback Machineの腕の見せどころなわけで。さっそくウェイバックしてみると、ぁゃしぃ写真がキタキタ。
Mystery helmetsに掲載されていた謎の写真。
1924年頃のペレスのデザイン。
1882年頃のカルマニョール兄弟 Alphonse and Theodore Carmagnolle のデザイン。
他にもあれこれステキな画像が満載なわけで。
以下あたりから辿っていくと幸せになれます多分。
Category: 雑記
Posted 2006年01月31日 23:32
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コメント
JIMの説明文を私のブログで使用させてもらいました。
Posted by 名無しさんさん at 2008/06/12 00:26